ヒメウコギは落葉低木で、大部分は雌木で、とげが少なく葉も軟らかです。中国では古くからヒメウコギのことを五加(ウーコ)と呼び、日本ではそれに木をつけ、五加木(ウコギ)と呼ぶようになりました。日本最古の本草書(918)にも記されていることから、相当古い時代(千余百年前)に日本に渡来してきたものと思われます。ヒメウコギはヤマウコギやエゾウコギなどに比べ食用に向いており、またそのトゲは、敵の侵入を防ぐ目的で屋敷の垣根として戦国時代は盛んに植えられました。
江戸時代の清良記(1629~76年)には四月野菜に五加の名があり、葉を食したことがうかがわれます。更に農業全書(1697年)には園籬(そのまがき)に通ずる植物10種が上げられ、中でもカラタチ、ウコギ、クコが最適であることが記されています。貝原益軒の大和本草(1709年)にもウコギの葉を食べたり茶にしたり、また根で五加皮酒を作るなど有用性がわかり易く記されています。